空きビルリノベーションのイベントに行ってみた

民泊物件をおさえたので、ようやく次にすすめます。これから行政への届出が始まるわけです。届出などは書籍をよめば載ってますし、手続きの流れは知っています。でも行政独自のローカルなところまでは知らないわけで。はたして、どんな罠トラップが待ち受けているのか。ここからさきは引きかえせないなと。
で──。
民泊はひと休みして、不動産と建築のトークイベントに参加してきました。株式会社ENNが主催する『いままちトークvol.1』です。この会社はすこし変わっていて設計事務所でありながら、不動産と店舗運営の周辺をあつかっています。建築だけではないし、大っぴらに不動産に手を出すわけでもありません。エリアリノベーションに近いのですが、エリアリノベーションのあり方は多様なのでプレイヤーのキャラクターが色濃く反映されます。
株式会社ENNはローカルかつユニークです。しかもそのユニークが尖っているからおもしろい。会場は金沢市の香林坊でまちなかのど真ん中にあるものの、仙石ビルってどこ?とさがしていたら大和の真裏でした。大和にいったのいつだっけ? と思い出してみたら、小学生のときに母に連れられていったような思い出が出てきてびっくり。そのとき以来だから三十年ぶりですかね。当時は大和の裏になんか行ってませんから、これから行くビルは未踏の地です。
実際にビルに行ってみると、イベント会場らしからぬ現場感が漂っていました。リノベーション後の完成お披露目会とおもいきや、絶賛工事中で。内装はおろか、天井の配線はむき出しだしになってます。なにより窓がない。七月の暑いさなか、窓がなくてエアコンが効くだろうか。不安がよぎります。よくよく見ると窓に薄いナイロンが貼ってあって、エアコンをガンガンにかければ涼しくなるのかな? ここを会場にするなんて、肝がすわってるな。
登壇者は大家さん

登壇したのは、商業ビルをメインにあつかっている不動産投資家の方でした。とはいえ一般的な投資家ではなく、商業ビルなり古い建築にたいし、大幅なリノベーションを加えているプレイヤーです。その意味で投資より、不動産再生にちかいでしょう。
話を聞いていると東京で賃貸やりながら、ビルの大家もやりつつ、金沢にきて民泊しているんだとか。不動産というジャンルをすこし飛びこえながら事業を展開しています。越境する不動産投資家。勇気がないとジャンルを飛び越えるのはむずかしい。そこは見習いたいですね。
登壇した人が「大家やりながらお宿やってます」と自己紹介していて、そのことばがストンと胸におちました。古家の賃貸をやりながら、民泊をやろうとする自分と重なったからです。物件をおさえてリノベーションするのはおなじですが、民泊をはじめようとする自分には響きますね。そうか、自分は宿をやろうとしているんだ。
銀行からみると、古家大家も民泊も不動産投資に分類されます。そして古家投資も民泊も、少額投資という点で共通しています。ただ似ているのは資金調達からみた場合というだけで、その実態は異なります。民泊は宿業で、れっきとした事業です。典型的な副業の大家とはちがいます。手間がかかるし、オペレーションが必要です。それだけのことがわかっただけでも、ここに来た価値があるというもの。
エリアを発酵させる

トークイベントで印象にのこっているのは「少しルールをはみ出し、おもしろいことやってる人たちに任せてほうっておく」というものです。
テナントリーシングについて語っているのでしょうが、そんな堅苦しいものではありません。根本にある思想みたいなものかもしれません。テナントの好きにまかせよ、という意思表明かなと。
ふと、これは発酵食品にちかいなとおもいました。発酵食品は素材をそろえてから塩をふったり下味はつけるものの、細かな味付けしません。糀や味噌につけておしまいなのです。繊細な味つけや調理はいりません。味つけをどこか発酵にまかせている節があります。設計があって、あとは素材のうまさと発酵具合によって味が決まります。素材に任せたほうがおいしくなるんですよ、みたいな。
場所を発酵させるとは、そこに住む人の知恵を最大限活かすことにつながります。長く住むことで生活情報が蓄積されるし、場所を保証することで意図しない面白さが出てきます。そして、知らないうちにおもしろい空間が出来あがっていきます。
金沢では昨今、空きビルは増えています。そこにおもしろいことをやるテナントが多くなれば、街は発酵するにちがいありません。大きいショッピングモールは買い物に便利でキレイで使いやすいのですが、いかんせん触れあいや意外性に乏しいのです。そこに人間的なおもしろみはありません。やはり発酵が必要なのです。
少しだけはみ出したり、遊んでみるのは勇気がいります。でもそこを一歩踏みだせば、世界はぐんと広がるのです。