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尾道の坂道散策

坂道

広島の古家物件ツアーの帰りに、尾道によってぶらぶら散策しました。尾道といえば急峻な坂道が有名です。見上げると延々と階段がつづいていて、おおこれがあの坂道かと感激しました。じっさいに歩いてみると、おもったより急でしたね。ここで生活するのはたいへん。足にきます。

傾斜のあるところに家がたちならぶ光景は壮観ですね。ジオラマ風というか、自然と人工物がまざりあっていて、なんだこれは! っておもいます。このまちなみは独特。

限られた空間をどこまで活用できるか、そのひとつの到達点が尾道にあります。郵便屋さんが配達するときアミダくじみたいなかんじでタテとヨコを移動するんじゃないかな。そんな町割りが坂歩きながらみえるってのが不思議です。

尾道をあるいていると、街のいたるところに石垣が顔を出します。そもそも斜面だと家をたてるだけの平面が確保できません。そこを石垣を築くことで階段状にして平面を確保しているのです。家をたてるのに地面を均してすこしだけかさあげするのは見かけますが、石垣積むって。そんな均しかたあります? 石垣の高さがハンパないんですよ。二メートルくらいありませんか、これ。


坂道につみあがった衝立のような石垣、細い横道がまちの構成要素になっていて、それが折りかさなって街がつくられています。

尾道の斜面をおりてきて駅の反対側にむかうと、すぐ海がみえてきます。海がすごく近い。道路わたったらもう海。そういえば鉄道も海のすぐちかくを走ってたなと思いだしました。


見わたすと、対岸の島に造船所が並んでます。これでもかと造船所がありますね。クレーンが屹立し、ドッグが立ちならぶ光景は迫力ですね。波がなくて海がおだやかなだから、船をおさめるのにちょうどいいんでしょうね。

船の桟橋にいくと、バス停みたいにフェリーの時刻表がありました。フェリーがみじかな生活になっていていいですね。フェリーというよりバス乗るみたい。

ロープウェイ

ロープウェイに乗って千光寺にむかいます。

https://mt-senkoji-rw.jp/fare/

ロープウェイからみると、お堂が崖に突き出てたっているのがわかります。奇妙な光景、というかよく建てられたな。

展望台から街をみおろすと、尾道水道が穏やかに流れていました。眺望が素晴らしい。この光景は海ではないですね。波がないですから。ほとんど川です、ヨーロッパの大きな河。

千光寺は岩が信仰の対象になっています。巨岩信仰というやつですね。かつてそのむかし尾道という要衝の地は、天狗──修行僧たちが管理していたんでしょうね。大きな岩が重なりあって、巨大な壁のように覆いかぶさってくる感がすごい。アトラクションセンターですね、セイフティネットがないアトラクション。自然ってこわい。

この岩がころがってきたら、そうおもうといろいろ想像しますね。山頂にある巨大な岩に、むかしの人たちも神秘性をかんじたのかな。そんな想いもあって、岩だらけのとがった山あいの地に人々が住居をかまえたのかもしれません。そしてわずかな平地をたよりに、港を整備していった。

帰り道のとちゅうで、志賀直哉の家を発見しました。見晴らしのいいところあって、平家ながら風情があります。遠くをみながら、小説の着想を練ったのでしょうか。

高いところからとおくを眺めると、パッとアイデアが啓けそうな気がします。もしそうだとしたら志賀直哉は小説をかくのに、高低差を必要としたということになるな。

商店街には、文豪を偲んだパン屋さんをみつけました。パン屋航路って。ふざけてますね。暗夜行路が台無しっていう。オマージュなのかな、いやでもここまで来ると文豪をいじってるとしかおもえないんだけど。こういうユーモアのセンスは嫌いじゃないですね。

お店の作りとかみても、古い建物をリフォームして店舗にしたんじゃないかな。センスあるお店だな、いろんな意味で。

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