
今回のトークイベントに登壇したのは、東京で建築事務所をいとなむ進藤さんです。この進藤さんはキャラクターが強烈です。見た目も濃いけど、中身はさらに濃いですね。なんでも「変態建築士」の異名をもっているんだとか。業界のかなでも変わってるんでしょうね。
株式会社ENN小津さんの話によれば、学生のときから進藤さんは変わっていたといいます。当時から独創性は際立っていたそうですが、負けん気も強かったようで、建築学科に在籍していた当時、投資とその経済効果みたいなことを論じて教授の怒りを買ったんだとか。ちなみに建築の世界では、お金の話はご法度とのこと。その禁忌を正面からぶち破ったんですから、肝がすわっていますね。
たぶん教授に目をつけられつつも、めげなかったんでしょうね。いやむしろ喰ってかかったんじゃないかな。当時の状況が目に浮かびます。
変態建築士の魔改造

進藤さんは設計するときに、まちなかのギャップをさがすといいます。ちょっとありえないような一画に店舗をつくるのです。まさかこんな場所にお店があるなんで、といったおどろき。その土地ならではの意外性がヒントになっています。住居付き店舗は序の口で、狭小スペースでも店舗をねじこんでいっぷう変わった店舗を設計しています。そして建物のおもしろさに惹かれて、また人が集まってきます。
店舗ができることで通りが変わり、通りがかわることで人が集まってきます。そして人があつまることで、まちなかが変わっていきます。ここまで聞くと、エリアリノベーションのお手本のようにみえます。
しかし進藤さんが手がける設計──その魔改造っぷり──は、お手本なんかじゃありません。マネしようとおもってまねができませんから。というか、アタマのネジが飛んでないと、こんな建築は作れないだろうとおもってしまいます。進藤さんの強力な個性があってなせるわざですね。
そもそも進藤さんは、建築ぽい話をあまりしません。不動産なのか建築なのか、店舗経営なのか。話してる内容が混然としています。その混然としている内容から、一筋の道があらわれるのでおもしろいのです。
進藤メソッドを空き家でかんがえる

進藤メソッドの一端を、空き家にもちこむとどうなるんでしょうか。まちなかのギャップをさがすという手順は、そのまま空き家が解決してくれます。空き家はひょんなところに生じるのが常で、空き家のもつ偶有性は、そのまま地域のギャップとなりえます。問題は偶然しょうじた空き家を活用して、どのような空間を設計していくのかになります。
店舗ができて、人があつまる。そう考えると、かならずしも飲食やショップにこだわる必要はなく、民泊やコワーキングスペースでも人を集めることはできます。
空き家リノベーションは、意図しない開発を生みだします。そう考えると、偶然できた空き家に店舗をつくるのはおもしろいかもしれません。住居付き店舗は、おもしろい試みになります。進藤メソッドによると、狭小スペースでも店舗はできるので、空き家をつかってミニマムな商業地域をつくるのも夢ではありません。またエリア内で店舗を分散させれば、歩いてまわれるショッピングモールになります。空き家がまちなみを変える。そこにひとつの可能性を感じます。
魔改造をたずねて

進藤さんが設計した建築をみたくて、代々木にいってみました。新宿なのか代々木なのか判然としない住宅地域に、店舗が密集したエリアがあります。魔改造された建築の集積は、まるでこみ入った迷路のようでした。代々木の一画にこんなエリアがあるなんて、誰が想像するでしょう。これを作った人はぜったいおかしいって。そんな思いがふつふつと湧きおこります。
店舗が集積したこの様相を、かつての建築学科の教授が見たらなんていうでしょう。止めておけと諌めるでしょうか? 案外いいねっていうんじゃないかな。